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生前贈与・相続対策|相続税を抑えるためのポイントと注意点

終活の法律と手続き

生前贈与とは?

生前贈与とは、被相続人が亡くなる前に財産の一部を家族や子に譲り渡す行為です。上手に活用すれば、相続時の課税対象財産を減らすことができ、相続税対策として有効です。

主な生前贈与の制度と非課税枠

暦年贈与(基礎控除110万円)

  • 年間110万円までの贈与には贈与税がかかりません。
  • 同一受贈者への毎年の贈与は、記録を残しておくことが重要です。

相続時精算課税制度(2,500万円まで)

  • 一括して大きな額の贈与が可能。
  • 適用すると贈与者の死亡時に相続税として再精算される。

教育資金・結婚・子育て資金の一括贈与(期間限定)

  • 条件付きで非課税となる制度あり。
  • 教育資金は1,500万円まで非課税(要信託口座)。

注意点とデメリット

  • 贈与税が高額になる可能性がある(特に基礎控除超過時)
  • 相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算される
  • 名義預金として税務署に否認されるケースも

どんな人に向いている?

  • 相続税がかかる可能性のある資産を持っている方
  • 将来のトラブルを回避したい方(遺留分減殺請求への対策)
  • 子世代に早く財産を渡したいと考える方

贈与契約書テンプレート(個人間での現金贈与の例)

贈与契約書

贈与者(以下「甲」という)と受贈者(以下「乙」という)は、次のとおり贈与契約を締結する。

第1条(贈与)
甲は乙に対して、以下の金銭を贈与し、乙はこれを受領した。
贈与金額:金○○万円(¥○○○,○○○)
贈与日:令和○年○月○日

第2条(贈与の目的)
本贈与は、乙の生活費・教育費(等)の支援を目的とするものである。

第3条(即時贈与の確認)
甲および乙は、本契約締結と同時に、上記贈与金額が現金または銀行振込により乙へ確実に渡されたことを相互に確認する。

第4条(その他)
本契約の内容に関して争いが生じた場合には、甲乙誠意をもって協議し解決するものとする。

以上の証として、本契約書を2通作成し、甲乙記名押印のうえ、各自1通を保有する。

令和○年○月○日

贈与者(甲) 氏名:______ 印
受贈者(乙) 氏名:______ 印

補足

  • 必ず日付と金額を記載し、贈与日当日または前後に振込記録を残すことが重要です。
  • **印鑑(実印であればなお良い)原本2通作成(各自保管)**が望ましいです。

贈与の記録を残すポイント

項目ポイント
贈与契約書上記のような簡易的なものでもOK。書面で残すのが基本。口約束は税務上認められません。
贈与方法**現金手渡しは避ける。**必ず銀行振込で証拠を残す。振込人名義は贈与者の名で行う。
振込明細ネットバンキングの取引履歴やATM振込控えを印刷・保存。税務署への説明に使える。
贈与の目的明確にしておく(教育費、結婚支援、住宅取得支援など)。相続税の非課税特例とも関連。
毎年の贈与暦年贈与をする場合は、「毎年契約を結びなおす」ことが必要。贈与は1年ごとに「独立」していることが重要。

未成年者への贈与契約書(一般贈与)

贈 与 契 約 書

贈与者(以下「甲」という)と、受贈者(以下「乙」という)は、以下の通り贈与契約を締結する。

第1条(贈与の内容)
甲は、乙に対し、次の財産を無償で贈与することを約する。

 1.現金 ○○万円
  (内訳:○○銀行 普通預金 口座番号:XXXXXXXX)

第2条(贈与の時期)
贈与の効力は、令和○年○月○日に発生する。

第3条(受贈の意思表示)
乙は、甲の贈与の意思を承諾し、本契約書に署名捺印することでこれを確認する。

第4条(親権者の同意)
乙が未成年であるため、乙の親権者である丙(氏名:_______)が本契約内容を確認し、同意する。

以上のとおり、本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙および丙が各自1通ずつ保管する。

令和○年○月○日

贈与者(甲): 氏名________ 印
受贈者(乙): 氏名________(未成年)
親権者(丙): 氏名________ 印

教育資金贈与信託契約書(信託型)

教 育 資 金 贈 与 信 託 契 約 書

贈与者(以下「委託者」という)〇〇〇〇(住所:_________)と、受贈者(以下「受益者」という)〇〇〇〇(住所:_________)、並びに受託者として〇〇信託銀行株式会社は、以下の通り教育資金贈与に関する信託契約を締結する。

第1条(信託目的)
本信託は、受益者である〇〇〇〇の教育資金に充当することを目的とする。

第2条(信託財産)
委託者は、金〇〇〇万円を信託銀行に拠出し、これを信託財産とする。

第3条(信託の運用)
受託者は、信託財産を安全かつ確実な方法で運用し、教育資金としての支出に充当する。

第4条(支出の範囲)
本信託により支出できる費用は、以下の教育に関する支出に限る。
 1.学校教育費(授業料、入学金等)
 2.学習塾、教材費
 3.留学に関する費用 など

第5条(信託期間)
本信託の期間は、令和○年○月○日から、受益者が満30歳に達する日の属する年の3月31日までとする。

第6条(信託終了)
上記信託期間の満了、または信託財産の全額支出時に本信託は終了する。

令和○年○月○日

委託者(贈与者):氏名_________ 印
受益者(被贈与者):氏名_________
受託者(信託銀行):〇〇信託銀行株式会社 代表取締役_________ 印

🔎 備考

  • 未成年贈与契約書には「親権者の同意」が必須です。
  • 教育資金贈与信託は、金融機関と契約する実務書式が異なるため、上記はあくまで参考用。各信託銀行(三井住友信託・三菱UFJ信託など)が用意する専用フォーマットを確認してください。

贈与契約書に関する「印紙税」の解説

基本的に印紙税は不要

  • 民法上の贈与契約書は「課税文書の非該当」とされることが多く、印紙税は不要です。
  • 国税庁の「印紙税額一覧表」においても、「金銭の贈与」は課税対象の契約書に該当しないとされています。

ただし、以下の場合は注意

  • 贈与契約書の中に 「貸付」「売買」など別の契約要素が含まれている場合は印紙税が発生する可能性があります。
  • **「金銭の受け渡しを明記し、領収書のような文面がある」**場合は、**領収書扱いとして印紙税200円(5万円以上の取引)**が必要な場合があります。

📌 迷った場合は「非課税文書」である旨を明記し、証拠保全のため自筆署名+印鑑で残すと良いです。


贈与に関する「税務署への申告」の解説

基本ルール(暦年贈与)

  • 年間110万円までの贈与なら、税務署への申告は不要(基礎控除)。
  • 110万円を超える贈与を受けた人(受贈者)が申告義務者になります。

申告が必要な場合

  • 贈与額が年間110万円を超えた場合、翌年の2月1日〜3月15日までに受贈者が「贈与税の申告」を行う必要があります。
  • 申告には以下の書類が必要です:
    • 贈与税の申告書(第一表・第二表)
    • 贈与契約書のコピー
    • 財産の明細
    • 本人確認書類(免許証など)

教育資金贈与の場合(非課税制度あり)

  • 祖父母や親が30歳未満の子・孫に教育資金を信託等で一括贈与(最大1,500万円)する場合、要件を満たせば非課税になります(2026年3月末まで延長中)。
  • ただし「信託銀行で専用契約を結び、報告を義務化すること」が条件。
  • 教育費としての支払い証明の提出が必要(領収書など)。

💬 よくある質問(FAQ)

Q1. 書面を交わさず、口頭で贈与した場合も税金はかかりますか?

はい。 書面の有無に関わらず、贈与が成立していれば税務上の贈与とみなされます。

Q2. 複数回に分けて贈与すれば、税金を回避できますか?

いいえ。 意図的に分割しても「一括贈与とみなされる」場合があり、脱税と判断される可能性があります。


補足アドバイス

  • 110万円以下であっても、贈与契約書などの記録はしっかり残しておきましょう。
  • 税務署から問い合わせがあった際に証明できるよう、「贈与の事実」と「目的(例:教育費)」を明記すると安心です。
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