はじめに|高齢化社会と「公助」の必要性
日本は超高齢化社会に突入し、**家族によるケア(自助)や民間の終活支援(共助)だけでは対応しきれない課題が増えています。そこで今、全国の自治体による「終活支援」**が注目されています。
ここでは、具体的な支援内容や事例を通じて、終活を考える上で知っておくべき自治体の取り組みをまとめてご紹介します。
無縁仏への対応
無縁仏とは?
無縁仏とは、遺族や引き取り手のない故人のことで、特に少子高齢化や未婚率の上昇で増加傾向にあります。
自治体の取り組み
- 行旅死亡人(身元不明死者)に対する葬祭執行
- 無縁仏の共同墓地の整備
- 無縁化を防ぐための「墓じまい」支援(例:補助金)
孤独死対策
孤独死の増加と社会問題化
高齢者が自宅で誰にも看取られず亡くなる「孤独死」が都市部を中心に増えています。
自治体の主な施策
- 高齢者見守りネットワーク(地域包括支援センター連携)
- 新聞・宅配業者と連携した「異常検知」
- 防災無線やポスト確認による生存確認
- 死後事務委任の啓発とサポート
高齢者の見守り活動
見守り体制の構築
- 民生委員・町内会による定期訪問
- 配食サービス業者・郵便局との連携
- AIセンサーを使った「IoT見守り」実証事業(例:岐阜県、岡山県など)
エンディングノート配布支援
終活の入口としてのノート支援
- 自治体オリジナルのエンディングノートの配布(例:大阪市、松戸市など)
- セミナー形式での書き方講座
- 無料相談員によるフォローアップ
死後事務の支援
独居高齢者・身寄りのない人の死後をサポート
- 公益財団法人などとの連携で死後事務受託
- 福祉的支援としての生活保護受給者の葬儀支援
- 死後の住居処分や家財整理への助言
生前整理・断捨離支援
地域でできる「元気なうちの片付け」
- 自治体主催の生前整理セミナー
- ごみ処理に関する相談窓口設置
- 高齢者向けごみの戸別収集支援(粗大ゴミ・引き取り対応)
墓じまい・改葬支援
継承者不在のための公的手続き支援
- 改葬許可申請の代行・助言
- 墓じまいの補助金制度(例:山形県、三重県など)
- 無縁化予防のための家族向け啓発
デジタル終活支援
高齢者のためのIT講座・スマホ講習
- デジタル遺産・SNSの取り扱い啓発
- 公的支援による「デジタル終活ノート」の案内(例:横浜市など)
地域でのコミュニティ作り支援
孤立を防ぐ居場所の提供
- シニアカフェ/ふれあいサロン運営
- 地域包括支援センターとの交流会
- 終活をテーマにした「交流型ワークショップ」
地域事例紹介(抜粋)
大阪市|エンディングノートと終活相談窓口
山形県新庄市|墓じまい補助金制度
横浜市|見守りIoTセンサー事業
新潟県柏崎市|終活支援士との無料相談会
まとめ|「行政の終活支援」をもっと知ろう
高齢者の終活・老後不安に対し、自治体は多面的な支援を行っています。家族がいない人も、経済的に不安な人も、「自治体に相談すること」が解決への第一歩です。