【前編】年代別の終活内容|いつから始めるのが理想か?
終活は「元気なうちに」始めるのが正解
終活とは、人生の終わりを見据え、物や心、情報の整理をすることです。亡くなった後のことだけでなく、「老後をどう生きるか」という未来設計の一部でもあります。
結論から言えば、「終活は元気なうちに始めるべき」です。体力・判断力・時間に余裕があるからこそ、後悔のない選択ができます。
年代別に見ると、始めるタイミングや内容は大きく異なります。
🔵 20代〜30代:終活の“意識づけ”から始める
この年代で「終活」を意識する人は少ないかもしれませんが、親の終活や自分の将来を考えるきっかけとして関心を持つ人も増えています。
主な内容
- 保険や資産形成の基礎づくり(つみたてNISAなど)
- 両親の終活をサポートする準備
- エンディングノートに興味を持つ
- SNSやデジタル資産の管理意識を持つ
🟡 40代〜50代:親と自分のW終活を意識する時期
親の介護や相続の問題が現実味を帯びてくるこの時期。自分自身の終活も同時に始めるのが理想です。
主な内容
- 両親の財産や介護、延命治療の希望確認
- 自分のライフプランの再整理
- 相続税対策や保険の見直し
- 不用品の整理・ミニマリズムへの転換
🟠 60代:自分の終活を本格化するタイミング
定年を迎え、生活スタイルが変わるこの年代は、自身の終活を本格化させる好機です。
主な内容
- エンディングノートの記入
- 財産目録と遺言書の準備
- 葬儀・お墓の希望整理
- 医療・介護の希望(延命治療、介護施設選び)
🔴 70代以上:最終調整と“見える化”
体力や判断力の低下に備え、終活の内容を「形」にして家族と共有するフェーズです。
主な内容
- 遺言書の公正証書化
- 葬儀社との事前相談や予約
- 相続手続きの簡素化
- デジタル遺産の整理
【後編】おひとりさまの終活|誰に向けて、どう進める?
「おひとりさま終活」とは
「おひとりさま」とは、配偶者や子どもがいない、または頼れる親族がいない人のこと。こうした方々にとって、終活は「残される人に迷惑をかけない」ための重要な手段であり、自分の意思をきちんと伝える唯一の方法でもあります。
誰に向けて準備するのか?
おひとりさま終活は、「第三者」に向けた明確な意思表示が基本となります。
- 友人や知人(もし頼れる人がいれば)
- 行政やNPO法人
- 成年後見人・任意後見人・信託銀行など
家族がいない場合、「誰に託すのか」が終活の大きな課題になります。
おひとりさまが行うべき具体的な終活内容
法的な支援体制の構築
- 任意後見契約:将来認知症などで判断能力が低下したとき、代わりに財産管理や契約行為を行ってくれる人を指定しておく。
- 死後事務委任契約:死後の手続き(火葬、住居の解約、SNS削除など)を専門業者や信頼できる人に委任する契約。
- 公正証書遺言:相続トラブル防止のためにも、明確な遺言書を公証人を通じて残しておく。
財産とデジタル遺産の整理
- 銀行口座、証券、保険、年金のリスト化
- パスワード管理アプリや紙媒体での一覧化
- SNSやサブスクリプションの解約指示の記載
医療・介護の意思表明
- 延命治療の有無
- 認知症や寝たきりになったときの施設希望
- 緊急時の連絡先、搬送先の希望
葬儀・お墓の準備
- 直葬(火葬のみ)や自宅葬など、自分に合ったスタイルを選ぶ
- 永代供養墓・樹木葬の事前契約
- 葬儀費用の信託預金や生前契約
支援サービスも活用しよう
おひとりさまを支援する自治体・NPO法人・信託銀行のサービスも年々増えています。
- 終活相談窓口(行政)
- 死後事務・身元保証サービス(NPO法人、司法書士)
- 遺言信託(銀行)
これらを活用することで、安心して老後を過ごせる体制を整えることができます。
まとめ:おひとりさまでも「安心して人生を終える」準備はできる
おひとりさまでも、適切な契約・書類・第三者の力を借りることで、十分に納得のいく終活が可能です。
むしろ、頼れる家族がいないからこそ、元気なうちに「自分の人生をどう締めくくるか」を明文化しておくことが、将来の安心につながります。