はじめに
家族の死やペットの死など、大切な存在との別れは、子どもにとっても大きな衝撃です。
ただし、大人と違い、子どもは「死」そのものの概念や、感情の整理が未発達なため、適切なグリーフケア(悲嘆ケア)が必要です。
ここでは、子どもの年齢に応じた死の受け止め方と、その対応法、さらに日常で使えるサポートツールを紹介します。
年齢別の説明の仕方(幼児〜高校生)
幼児期(3〜6歳頃)
- 死の理解:死=「眠っているだけ」「そのうち戻ってくる」と考える
- 対応法:
- 「もう会えないんだよ」と繰り返し、やさしく伝える
- 「○○は死んで、お空に行ったの。もう戻ってはこないけど、ずっと見守ってくれているよ」と安心感を添える
小学生(6〜12歳)
- 死の理解:死は“現実”だと理解し始めるが、感情の表現が乏しい
- 対応法:
- 感情を否定せず、「悲しくてもいい」「泣いてもいい」と伝える
- 絵本などを使って心を外に出せる時間をつくる
中高生(13歳以上)
- 死の理解:死の意味を深く考えるようになり、無気力・反抗・孤立などの反応も
- 対応法:
- 一方的に説明するのではなく、「どう感じている?」と本人の言葉を尊重する
- カウンセラーや信頼できる大人への相談も選択肢に
学校や担任への連携はどうする?
学校は、子どもが多くの時間を過ごす環境です。グリーフの影響は、学力や行動、感情面に表れることもあるため、学校との連携は非常に重要です。
連携のポイント
- 担任やスクールカウンセラーに状況を事前共有
- 「話したくないときは無理に話させないで」など配慮の希望も伝える
- 欠席・早退が増える可能性を共有し、柔軟な対応をお願いする
無理に“通常通り”を押し付けると、子どもの中で悲しみが押し込められてしまいます。
環境全体で「安心できる居場所」をつくることが大切です。
絵本やぬいぐるみなどのグリーフサポートツール紹介
子どもは言葉で気持ちを整理するのが難しいため、目に見える形の支えが有効です。
おすすめの絵本
- 『わすれられないおくりもの』(スーザン・バーレイ)
⇒ 死んだモグラの優しさが残るという、あたたかな内容。 - 『おじいちゃんがおばけになったわけ』(オスカー・ブルニフィエ)
⇒ 子どもの哲学的な問いに答える、死をめぐる絵本。
ぬいぐるみ・メモリアルグッズ
- 故人の洋服や写真で作る「メモリアルベア」
- ボイスメッセージ入りのぬいぐるみ
- “大切な人とつながっている”と感じられるアイテムが心の支えに
おわりに
子どもが大切な人を亡くす経験は、人生において非常に大きな出来事です。
大人ができることは、「子どもに正直でいること」「感情を受け止めること」「時間をかけて見守ること」。
グリーフケアに“正解”はありません。
けれど、「ひとりじゃない」と感じられる環境を整えることは、どんな子にとっても救いになります。