遺言書とその活用|正しい書き方と遺産分割への影響とは?
相続のトラブルを未然に防ぎ、自分の意思を確実に伝えるためには、遺言書の活用が非常に有効です。特に家族関係が複雑な場合や不動産・預金など分配が難しい財産がある場合、遺言書の有無が大きな差を生みます。ここでは、自筆証書遺言の正しい書き方や、公正証書遺言の特徴、遺産分割への影響、遺言執行者の役割までを詳しく解説します。
自筆証書遺言の書き方
自筆証書遺言は、本人が全文・日付・氏名を自書し、押印することで作成できます。2020年の法改正により、財産目録だけはパソコンやコピーでも添付が可能となりました。
基本ルール:
- 本文は必ず自書(直筆)すること
- 日付・署名・押印が必要(印鑑の種類は問わないが実印が望ましい)
- 財産や相続人を特定できるように具体的に記載
- 保管は自宅でも良いが、2020年より法務局での「自筆証書遺言保管制度」が利用可能に
公正証書遺言のメリットと手続き
公正証書遺言は、公証役場で2名の証人立会いのもと、公証人が作成する遺言です。内容の不備がなく、紛失・改ざん・無効リスクが低いため、確実な遺言を残したい方に適しています。
メリット:
- 裁判所による「検認」が不要
- 法的に確実性が高い
- 公証役場に原本が保管され、紛失の心配がない
手続きの流れ:
- 遺言内容の草案作成(必要に応じて専門家と相談)
- 公証役場へ予約・必要書類提出
- 証人2名の用意(※公証役場で手配可能)
- 公証人による作成・読み聞かせ・署名・押印
遺言書と遺産分割の関係
遺言書は、法定相続分に優先します。ただし、最低限の相続権を守る「遺留分」を侵害している場合、他の相続人から「遺留分侵害額請求」を受ける可能性があります。
ポイント:
- 遺言があると、遺産分割協議を行わずに名義変更などが可能
- 相続人の納得が得られない内容には注意(無効になるわけではないが争いの火種に)
遺言執行者の役割とは?
遺言執行者は、遺言の内容を具体的に実現する人物です。遺言書に指定することが多く、相続手続きをスムーズに行ううえで重要な存在です。
主な業務:
- 相続財産の調査と目録作成
- 名義変更や預貯金の解約手続き
- 遺言内容に基づく財産の分配
専門家(司法書士・弁護士)を遺言執行者に指定すると、相続人間のトラブルを回避しやすくなります。