年金は、亡くなった当月分まで支払われますが、年金の性質上(後払い方式)、本人が受け取る前に亡くなってしまうケースがほとんどです。この「まだ受け取っていない年金」を遺族が受け取るための手続きが「未支給年金」の請求です。
この記事では、誰が受け取れるのかという「優先順位」から、手続きをスムーズに進めるための「生計同一の証明」まで詳しく解説します。
未支給年金とは?
年金は、偶数月の15日に「前2ヶ月分」が振り込まれる仕組みです。
- 例:10月に亡くなった場合 10月分(亡くなった当月分)までの受給権がありますが、その支払いは12月。本人は受け取れないため、遺族が「未支給年金」として請求します。
これは遺族年金とは異なり、「故人が本来もらうはずだったお金」を遺族が代わりに受け取るものです。
請求できる遺族の「優先順位」
未支給年金を受け取れる遺族には、法律で厳格な優先順位が定められています。
- 配偶者(内縁関係を含む)
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- それ以外の3親等内の親族(甥・姪、おじ・おば、子の配偶者など)
重要ポイント(信頼性の深み) 「3親等内の親族」まで対象が広がったのは平成26年の法改正からです。以前より対象範囲が広がっていますが、上位の順位の人が1人でもいれば、下位の人は請求できません。
手続きに必要な「生計同一」の証明とは
未支給年金を請求する最大の条件は、亡くなった方と「生計を同じくしていたこと」です。
- 同居していた場合: 住民票上の世帯が同じであれば、比較的スムーズに認められます。
- 別居していた場合: 仕送りがあった、頻繁に訪問して家事手伝いをしていた等の事実が必要です。この場合、第三者(民生委員や親族以外の知人など)による「生計同一関係に関する申立書」への証明が必要になり、ハードルが少し上がります。
手続きの流れと必要書類
請求先は、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターです。
必要なものリスト
- 未支給年金・未支払給付金請求書
- 亡くなった方の年金手帳(または基礎年金番号通知書)
- 戸籍謄本(故人と請求者の関係がわかるもの)
- 住民票の写し(故人の除票および請求者の世帯全員分)
- 生計同一関係に関する申立書(別居していた場合)
- 振込先口座の通帳(請求者本人名義のもの)
知っておきたい注意点
① 「年金受給権者死亡届」を忘れずに
未支給年金の請求と同時に行うべきなのが「死亡届(受給権者死亡届)」です。これを忘れて年金が振り込まれ続けてしまい、後から返還を求められるトラブルが多発しています。日本年金機構にマイナンバーが登録されている場合は原則不要ですが、念のため確認しましょう。
② 未支給年金は「一時所得」扱い
未支給年金は相続財産(遺産)には含まれません。そのため相続税の対象外ですが、受け取った遺族の「一時所得」として所得税の対象となります。 ※他に大きな所得がなければ、特別控除(50万円)の範囲内で非課税になるケースがほとんどです。
③ 時効は5年間
未支給年金の請求期限は5年です。他の葬儀後手続きに比べて長いですが、必要書類を揃える手間を考えると、四十九日法要を目安に進めるのが理想的です。
6. よくある質問(FAQ)
Q:施設に入所していた親の未支給年金は、別居扱いになりますか? A: 施設入所や長期入院は「一時的な別居」とみなされるため、仕送りや面会などの交流があれば「生計同一」として認められる可能性が高いです。
Q:事実婚(内縁関係)でも請求できますか? A: はい、可能です。ただし、住民票の続柄に「未届の妻(夫)」と記載されているか、それがない場合は生計を共にしていた客観的な証明書類が必要になります。
Q:相続放棄をしても未支給年金は受け取れますか? A: はい、受け取れます。未支給年金は「遺族自身の固有の権利」であり、遺産(相続財産)ではないため、相続放棄の影響を受けません。
Q:亡くなった親に未払いの医療費がある場合、未支給年金で充当できますか? A: 受取人となった遺族の口座に振り込まれるため、そのお金を医療費の支払いに充てることは自由です。
まとめ:年金の手続きは「早め・正確」が肝心
未支給年金は、残された遺族に認められた正当な権利です。特に別居していた親族が請求する場合は証明書類が複雑になるため、早めに年金事務所へ相談することをお勧めします。

